『暴れん坊本屋さん』でおなじみの、久世番子先生の新刊。こちらは一話完結のオムニバス・ストーリーものです。

『暴本』を読んだときにも書きましたが、久世先生が描かれる女性は、なぜこうも無駄に色っぽいのか。あたしゃもうこれだけでお腹いっぱいですわ。
なにせ、この作品に出てくるどの女性も色っぽい。こんな書店がほんとにあったら行ってみたい。
エキスパート書店員の杏子さん。本を検索させれば日本一。眼鏡でさらに冴える美貌で、こりゃ年下から惚れられるのも無理はありません。
多絵さんは、書店員としては半人前クラスなのだと思うのですが(なにせ包装がまともにできない、ってんだから)、トラブルへの対処力は並々ならぬものがあるわけで。正直、勤める場所を間違えてるんじゃ…、とも思いますが(笑)。

ただでも、この作品はキャラ萌えだけじゃない。ストーリーもきちんと備わっています。どのお話も、読んでいてその謎や謎解きの過程に引き込まれていきます。
私が一番気に入っているのは、「標野にて 君が袖振る」です。物語の中枢は悲壮ですが、出てくるキャラクターがどれも魅力的で、最初は真っ暗な始まりから、ラストへ向けてだんだんと明るい方向へ向かっていく方向性が、読んでいてとてもわくわくさせるものを感じられて良いのです。
まあ、この作品はそういう流れのものが多いのですが。

この作品、最初は4月に発売予定の『番線』と一緒に買うつもりでいたのですが(キャンペーンも組で行われますし)、ジュンク堂池袋店に行ったらペーパーが付いてくるということだったので思わず買ってしまいました。
でも、そのキャラクターの魅力的なところは、4月よりもっと早く買っておいてよかったと思わせるに十分なものがあります。すばらしい作品。