小笠原朋子『おいしい日曜日ハート
ついにこの日がきてしまった。
三上さんが、あかりさんに「好きだ」と告白する決心をしました。田辺さんの後押しもあってのこと。
でも、あかりさんも三上さんを想っているかどうかの保証がたった大福餅一個分とは、安すぎないですか田辺さん。でも田辺さんが生き生きしているのは、大福のせいかそれとも三上さんの恋のせいなのか。
当のあかりさんはといえば、三上さんへの笑顔が輝きまくってます。三上さんがまともに顔も見れない勢いです。
でもまずは勇気を振り絞って、三上さんはあかりさんに告白するためにいっしょのお散歩へと連れ出します。

あかりさんへの告白を控えた三上さんの心の中はというと、もうつきあって結婚して娘さんまでいる(笑!)情景を想像しています(タイトルいわく、「妄想」だそうですが)。うわあなんて死亡フラグ…。
もう、恋が実ることしか頭にないのです。第三者的な目で見れば、すっかり頭が沸いちゃってる状態ですよね。こもりきりの三上さんを外へ連れ出そうとしていたあかりさんが、おにぎりを作ってきていたことも、もはや三上さんをさらにヒートアップさせる要因でしかありません。
でも、あかりさんのほうは違うのです。学生時代を病と過ごしていたから恋を知らないし、恋を避け続けているから、三上さんのこともあくまで「尊敬する人」であり、お仕事の雇い主でしかないのです。
あかりさんが変わったのは、三上さんを尊敬するようになったから。自分の仕事と笑顔が三上さんの役に立つと信じていたからなのですね。
でもそれを薄々わかっていても、もう炎上した三上さんを止めることはできません。もちろん三上さん自身にも。

だから勝負にうってでた三上さん。デコピンのかわりに額にキスをして、あかりさんがほしいと告白するのです。
でも、そんな三上さんへのあかりさんの答えは、当然のようにつれないものでした。三上さんにとって、自分の心はあかりさんにもてあそばれていたけれど、あかりさんは、三上さんの心をもてあそんでなどいなかった。告白されて、あかりさんの心はぐしゃぐしゃになって、三上さんの心もぐしゃぐしゃになったのです。
つい一瞬前まで、あかりさんが三上さんのすべてだったのに、その瞬間が過ぎた後は、三上さんの中には絶望しか残っていない…。

今回は、とてもすがすがしく、ひどく腹立たしい回です。三上さんの「妄想」ぶりも腹立たしいし、三上さんに向き合ってもくれなかったあかりさんにも腹立たしいし。
これまでの振りを考えると、どうみてもうまくいくなんてわけがないのが想像できたので、三上さんがこうまであっけなく振られたことは、すがすがしいほどにあっけないのですが。

きのう、大滝詠一が歌う『バチェラー・ガール』を聞いたのですが、偶然にもまるで告白後の三上さんの心境のような歌詞があったので、どうにも三上さんの前途が暗く見えてしまって仕方がありません。
とても先のことなど想像できません。

続く作品ものちほど