衣笠氏ら発掘、伝説のスカウト木庭氏死去(日刊スポーツ)
人には寿命というものがある、ということはわかっていても悲しくてしかたがない。

あれはもう10年ほど前になるでしょうか。
冒頭を立ち読みして一目惚れし即購入した、後藤正治氏のノンフィクション『スカウト』(講談社刊)で木庭氏の存在を知り、そこに書かれた木庭氏の生きざまと、木庭氏が持っている「スカウト哲学」のようなものにも惚れこんで、以来私は木庭教(さとし)信者となりました。

労をいとわない徹底した現場主義、相手にどんな背景があろうと色眼鏡をかけて人を見ない「人間観」、確固とした物の見方など、「私もこういう人になりたい」と思わせる方でした。
吉村昭氏が他界された時も同じ表現を書きましたが、木庭氏もまた、私の生き方の模範なのです。

この方が、もし少しでも野心が持っておられたならプロ野球コミッショナーを目指して欲しかったなと。
この方がコミッショナーになっていたら、きっと今のようなプロ野球にはなっていなかったはず(とくにセ・リーグは)。

83歳というお歳は天寿を全うされたといってもいいのかもしれませんが、やはり100歳でも何歳でも生きていただいて、真の意味で「球界のご意見番」であり続けていていただきたかったなと。

また私のお師匠様が亡くなられてしまった…。