3月20日の、「きらきら★とりころ?るVol.5」でのジャンケン大会で手に入れた本。
感想を楽しみにされているところをお待たせして大変申し訳ないところ。
そして本来なら、つい先日発売したばかりの『ウチヘ行こうよ!』(竹書房刊)について書くべきところなのですが、どうもこの作品について先に書かないと収まりがつかないというか、とにかくいやなもので…。
まず先に書いておきますが、ネガティブとも取れる部分も多少書くかもしれないので、読むときには注意していただきたく。

小笠原朋子先生が芳文社の雑誌で描かれたものとしては現在のところ最後のものとなるこの作品。なんとも、読んでいて底抜けに楽しいものになっています。
主人公の女子高生(開始時は高校受験生)・樹里が、とても単純明快で頭が良いとも悪いとも付かない行動や言動を見せているところや、英語が話せないアメリカ人(加えて英語の成績は赤点【笑】)・ダイアナの強さ(いろいろな意味で)とか、アメリカ人なのになぜそんなに日本食(あるいは長野食)一辺倒ですか?(笑) と問いたくなるダイアナの家族とか。
とくに2年生のダイアナと1年生のふたり(樹里・杏奈)はとてもキャラが立っていて(むしろ樹里は「立ってる」ってレベルじゃない【笑】)、この三人が絡む話を読むとどれもすごく笑えます。ほんとうに楽しいです。
なんというか、それぞれの4コマで笑えて、しかも連載時の毎月ごとの各話がおわるごとにどんどん物語が進展しているあたりは、まさしく小笠原先生の仕事ぶりを味わえる作品になっていると思います。

さてここからが個人的には書き方が難しいところなのですが。
この作品を読んでいて思ったのですが、小笠原朋子作品は、この作品&竹書房での『悪の生徒会長』(たしか描きはじめは近い時期の作品だったはず)あたりを境にして、なにかが変わったように思うのです。
率直に書いてしまうと、その後に描かれた『Hiスクラップ!』以降の作品では、4コマ1本1本あたりで笑いを取る、という要素が薄くなり、かわりに各月掲載される1話ごとの物語性が濃くなっているというか。
『おいしい日曜日』に至っては、物語性で話をぐんぐんと引っ張っていくけれども笑いの要素はさらに薄くなっているところまで行っているような。

この変化が、小笠原先生の作品と読者との関係にどのような効果をもたらしたのか、というのは、もちろん私にはよくわからないのですが。
ただ私としては、『山の上?』の時期の作品が持つ「笑いと物語性のバランス」が、読んでいてとても楽しく感じられることは間違いないです。
『おいしい日曜日』のような物語性の強さを持つ作品は、私から見るとすごく読み込ませる部分があるから面白いですし、読んでいてさまざまな感情を持たせるから良いのですけれども、読んでいて楽しいかと言われると、単純に楽しめる作品ではないですから。

いままで、小笠原朋子先生が4コマ誌での連載を切り上げられたのは、時代の変化というか、読者の捉え方も含めた状況の変化が大きいのかなと思っていたのですが、『山の上歌劇団』を読んでいて、小笠原先生の描き方の変化というものもあったのかな? とも感じました。