蓮ちゃん、私のお嫁さんになってください…。
(「蓮ちゃんは俺の嫁」なんて僭越だ)

師走冬子先生の作品『あいたま』も、『奥さまはアイドル』(竹書房)に続いて単行本3巻刊行です。早売りを購入してきました。
以前、この作品の既刊のレビューを書いたときも、「師走冬子ファンのなかでもこの作品については食わず嫌いの人がいる」という噂があることを書きましたが、こんな良い作品を読んでない奴がいるなんて、なんてもったいない! それをすてるなんてもったいない!

なんと楽しい作品だろうかと思わせる要因のひとつは、主人公である暮巳あいちゃんの存在であることは、この作品を読まれる方にとってはご承知のとおりでしょう。
一般社会に混じればある種「浮いている」存在であるはずのアイドル達の中にあって、一般人でありなおかつ熱烈なアイドルマニアであるがゆえに、アイドル達が学ぶクラスの中で浮いた存在になってしまう、そんなあいちゃんの行動の、一つひとつが実に笑えるものになってしまうおかしさ。
それを一点のくもりもなく描き出してしまう師走冬子先生の手腕は、じつに素晴らしいものがあります。
特殊なシチュエーションを舞台にしているだけに汎用性は薄いものの、ギャグ4コマまんがとして、この作品は一級品と言って差し支えないものなのではないでしょうか。

もちろん、私が師走冬子作品について書くときにはいつも書いているように、登場するひとりひとりのキャラクターの造形もきっちりされていて、特殊なシチュエーション・特殊な背景を持つキャラクターであるにもかかわらず、どのキャラクターに対しても読んでいて感情移入ができる、という点でも、この作品は優れていると思います。
そんななかでも、冒頭にも書いているように私のいち押しは蓮ちゃんなわけですけれども(笑)、彼女の場合、スタイル抜群な部分を除くとわりと一般人との落差が少ないというか、まあぶっちゃけ一般人とそんなに変わらない感じ(笑)のリアリティあるキャラクターなところがとてもすてきだと思います。
単行本33ページからの1話は、蓮ちゃんのそういう一面が描きだされているようでとても楽しいと感じます。あいちゃん、死ぬなよ!(笑)
しかし、蓮ちゃんのスタイル抜群な部分は武器というか凶器なわけで…、数々のお話でときおり見せるラブリーな凶器ぶりは数々の男ども(+あいちゃん)を沈めてきたに違いないところ。
気になったのは、蓮ちゃんがそういう場面で見せる下着はみんな黒なのですが、蓮ちゃんて、「下着はすべて黒」みたいなポリシーがあるのかしらん…。「常在戦場(あいちゃんがいるだけに【笑】)」ということで、下着はすべて見せられるものを着けているであろうことは想像に難くないですが。

そして久米さま(CV:斎賀みつきさん一択)。彼女はほんとうにつかみどころのないキャラクターです。感情の起伏がほとんど見られないけれど、そこがまた女の子たちの愛情の対象(というよりも崇拝か)たるゆえんなのでしょう。そんな久米さまが、今回感情の起伏を見せた数少ないシーンがあるわけですが。その感情の対象が秋沢先生だったというところに、なにかまた想像力を刺激されてしまいます。先生としての尊敬の念なのか、あるいは…。
そんな秋沢先生。3巻では身を焦がさんばかりの恋までしちゃったりしてます。でも、恋に破れた秋沢先生のなんと愛らしいことか。慰めてさしあげたくなります。

おそらく私の読み方は、『あいたま』ファンの中でもあまのじゃくなほうだと自負していますが、普通に読まれている方にはもっともっと魅力があふれている作品だと思います。
こういう作品を読めて本当にうれしい。