小笠原朋子『ウチヘ行こうよ!』
春が好きな明彦くん(16)です。「明彦自体が春みたい」とは、恋人のゆりえさん。ええと、それって脳味噌の中が春だ、ってんじゃないですね? 違います。明彦くんが、春のような優しく暖かな心の持ち主だからだそうです。と、ふたりで盛り上がってるところにおじゃまなひと(笑)。
そんなおじゃまさんが、ゆりえさんの母・こずえさんです。明彦くんとゆりえさんのふたりが派手に驚くのは、ここが学校だから。でも明彦くんはびっくりしすぎ。びっくりついでに、ゆりえさんを押しのけて、さらに「こず…」と言いかけてますが、呼び捨てにするつもりではなかろうな?(笑)

学校に来ても、やはり年相応に見えないこずえさん。これまで、「年相応に見えない」と言っていたのは明彦くんぐらいで、家族であるゆりえさんあたりはむしろ否定してましたよね。
ここにきて、第三者からの評価も「年相応に見えない」ということが判明しました。なにも知らない同級生たちは、こずえさんが母親とは思えずにタメ口ですし、はては、「妹だろー!! かわいいっ」とまで言われてしまう…。
ゆりえさんと並んでも、みんなから疑問の眼で見られてしまうのです。ほんとにこずえさんが実の母親なのかと。実年齢をバラそうとするゆりえさんに、「やめてー!」とばかりに絶叫してその数字を隠すのは明彦くんです。そこはギャップを楽しむのが本物(何のだ)じゃないのか?(笑)
そして疑問の眼その2。明彦くんの目がこずえさんのほうに行ってないか? ということ。図星じゃないか。明彦くんは表向きは冷静に、内面では必死で取り繕って隠してますが。ただ、彼を弁護するなら、明彦くんの中ではこずえさんを諦めようとしているのに諦めきれてないだけなんですきっと。

しかし残念(?)ですが、そんな必死さもこずえさんの制服姿の前ではあえなく崩壊。似合ーう。たしかに似合う。ゆりえさんより似合うのはどうなのか?(笑)
でもこずえさんのからだは、そんな若い格好を許してはくれないようす。ミニスカ制服でひざが冷えて痛くなるってあなた。ゆりえさんの内面の年齢はいくつだ?
そしてこずえさんにはスケバン疑惑も浮上して。70年代後半から80年代前半あたりに青春時代をおくったわけですか…。ていうかだいたい歳がバレてしまう、そんな世代。
でも、ゆりえさんにとってはこずえさんは普通のお母さんなのです。「若い」、「かわいい」と、周りの人がお母さんをチヤホヤしてもこずえさんにとっては、他のおうちとおんなじ、家族のみんなことを考えるお母さん。だから明彦くんの、「歳相応に見えない」にも否定していたわけですね。

が、こずえさん。最後に自分の昔の制服を着ちゃうし!(笑) ていうか、いまだに着れるってどうよ(笑)。
思わず明彦くんは目がギラギラ。幸三郎さんは、やっぱり明彦くんにこずえさんのそんな姿を見られるのは憂鬱なのでしょうか。どよーんと。なにげに幸三郎さんの今後も怖い!(笑)

続く作品ものちほど