松本ミトヒ。『メガミのカゴ』
「演劇部をサポート篇」の後編。舞台の幕が上がりました。

シンデレラなのでいきなり働かされている明美さん。洗濯物を干しているのですが、横に立っている木、木に顔が(笑)。
王子様役をやるはずが、衣装の関係で(前号参照)どたん場で外れることになってしまったクミさんが、なかば強引に役を入れたみたいです。王子様転じて、木か…。
擬態メイクもなく、木の幹のところにおもいっきり顔が出ているのは、やっぱりウケ狙いなんですかねえ。その顔の前に洗濯物を掛けちゃう明美さんも、ある意味ノリがいいのかも(笑)。
そんなシンデレラに、しぃ太さん演じる森の妖精がプレゼントしたかぼちゃの馬車&衣装。なるほどたしかに、この「森の妖精」は、しぃ太さんがいちばん役にあっていると思います。
そして場面転換のために早替え(衣装を素早く替える技術)をするわけですが、そこでようやく正気に戻った、演劇部副部長&衣装づくりのエキスパート小峰さん。
「40秒でしたく(早替え)しなッ!」とは、ドーラ婆さんかよ! ほんとにオタクの素養のある娘だねこのひとは。

一方クミさんのかわりに王子様を演じることになってしまった南さんはセリフを頭に入れているさいちゅう。でもすでに雰囲気は王子様になっているような?
はい。これが前号最後での明美さんの秘策。南さんが萌えているファンタジー漫画の主人公である王子のキャラクターを南さんと同化させてしまったのです。すごい。なんだこの南さんの感情移入力は。
でもセリフ覚えはあやしい。「最初の3行は完ぺキさ!」、ってあなた。

舞踏会。素敵な服に身を包んだ明美シンデレラと南王子のダンスシーンはたしかにロマンチックであります。でも南さんのほうが背が低いぶん、構図や雰囲気が「シンデレラ」から想像されるようなものと逆になっているところは、狙っているところなのかな? と。
ちょっと駆け足気味ですが、12時の鐘が鳴ってシンデレラは帰らなければならなくなり、また場面を転換することになります。が、そこでアクシデント。置き忘れたガラスの靴を片付け忘れて、大道具に潰されて真っ二つに。しぃ太さんが持っていたもう片方も、しぃ太さんがコケて…。しぃ太さんには笑いの神が降りてくる、というのがクミさんの持論なのですが、この場合はなあ。
しかし、そんなピンチもうまくフォローしてしまうのが明美さんと南さん。「フォーメーション132」って、こんな土壇場でも秘策を持っているのですから。
南さんに褒められて、照れ隠しにむにゅっと南さんの頬をつねる明美さんがかわいかったり(笑)。

シンデレラたちのところにやってきた、王子様とその一行。でも王子様は一目見てすぐにシンデレラのもとへ。そして明美さんのプロンプなしで、南さんは明美さんの手を取って語りかけます。
そう、「フォーメーション132」とは、南さんが萌えているファンタジー漫画の名場面のページだったのです。いやあこの場面での南さんもかなりロマンティックな、というか口説き上手なキャラになっています。なるほど、「ガラスの靴」云々よりも説得力のあるシナリオになっているわけです。これをほとんどアドリブでやってしまうのだから、このふたりの度胸ときたら。
だけど、南さんと明美さんの身長差でオーラスのお姫様だっこはどうするの? と思っていたら、そこはある意味強引に、明美さんが南さんを抱きかかえてしまうというところに持っていきました。やっぱり、明美シンデレラが南王子様をリードする構図だったのですね。
でもそんなふたりの演技力(?)で、大喝采のうちに終わった「シンデレラ」でした。
演劇部部長の笹本さんも、自分を、そして演劇部を成長してさせていく足がかりをつかんだようですし、メガミ委員会のサポートは大成功だったのではないでしょうか。

そしてクミさんとしぃ太さんも、舞台に参加したことに影響されて、喜劇部を作ろうと考えてますし(笑)。明美さんと南さんを勧誘しようとしますし。まあでも明美さんたちはメガミ委員会がありますからねえ。
と思ったら、クミさんたちもメガミ委員会に入ると言いだしました。これは急展開。でもそんなときでも動じないのは南さん。なにあやしい書類(注・ただの入会届です)にサインさせようとしているんだ(笑)。
だけど、明美さんももちろん断る道理はありません。
2人から4人に増えるメガミ委員会が、これからどんな「サポート」を続けていくのか、また楽しみになってきます。というところで次号はお休みですが…。
そろそろコミックスにするだけの原稿が貯まってきたんじゃ…?

続く作品ものちほど