ある種4コマとしては異彩をはなつといっていい画やデザインで少年少女の透明感を描いたこの作品、2巻で最終巻となりました。

さて『HR』の連載については、田山ハナちゃんと藤村くんの事件(コミックス75ページ)からどうしても読み続けることができずにドロップアウトしたので、それ以降に関しては未読でおりました。
あらためてその前段からラストまで通して読み返してみるわけですが、やはり長月みそかというひとの緻密なシナリオづくりには感服しないといけません。
ただそれゆえにあの「事件」があまりにも唐突に感じられるわけで。
さらに言えばあの事件前何回かの回からもなにか「フラフラ感」を感じます。これも少年少女特有の感覚を描いているのだとしたらすごいことですが。
でもやはりいまだにあの「事件」を描いた部分はこの作品にとって「蛇足」だったというか、違う言い方をすればちょっと乱暴ですが「瑕疵」だったんではないかな、と思わずにいられません。
あの場面だけ切りとれば、風景としていい場面であることはまちがいないと思うのですが。

巻頭のカラー描きおろしはこの作者らしい充実感が感じられます。そういえば作者のブログ等を除けば、公式的に『HR』と『あ でい いんざ らいふ』を初めとした他の長月みそか作品の世界が同一地平上であることを認めたのは初めてなんじゃなかろうかと思うのですが?
あと、3人を描いたポエムはちょっとばかりこそばゆい(笑)。素子ちゃんの「オチ」にはくすっとしましたが。その電車を切り離すとしたらそれは素子ちゃん自身のキモチ如何でしょうか。

人物的には、1巻の最後の回で登場して、「いけすかない男だな」と思わされた八雲さんが、物語終盤になって、泉先生と絡むようになってとても面白いキャラクターになっていったあたりがとても意外に感じられました。登場した1話で終わるとも思えないキャラでしたけども。意外とカラッとしてる人物像だったところがよかったのか。
あと、夏目さんが後半どんどん良くなったんですよね。やはり、恋をする女性はたとえ二次元でもどんどんきれいになっていくという私の持論は間違っていないように思えます。恋に破れたもの同士、島崎くんと幸せになれるといいですね(やはりそういう組み合わせなのか?)。

やはり長月みそか先生が描く「透明感」はどのかたちの作品でも不変であり、それが描けることがこのひとの最大の強みであると確認できる作品でした。