松本ミトヒ。『メガミのカゴ』7月28日コミックス1巻発売
1号休載(コミックス作業)を経て、再開です。その今回は「新章突入」といったところか。
その冒頭から、局面の転換を思わせる風紀委員長の厳しい声が飛んでおります。その風紀委員長・八重樫琉子さんですが、明美さんとふたり並び立つ扉絵から、このふたりの相似点をうかがわせる感じになっていたりします。本編中でもそのように感じさせるところがあるのですが。

明美さんと南さんに加え、バレー部と掛け持ちのクミさんとその相方(笑)しぃ太さんも加わった「乙女の鏡(メガミ)委員会」。さっそくクミさんの体力を発揮するお仕事も舞い込んで、順調に滑り出したような新生メガミ委員会。ですが、しぃ太さんに魔の手が…、もとい風紀委員長の厳しい目が。
しぃ太さんのトレードマークともいえるニーソックスが校則違反だというのですね。しかし、八重樫さんの厳しすぎるとも取れる叱責に立ちはだかったのが、メガミ委員長・明美さん。
ここで委員長同士の息づまる丁々発止が起こるのかと思ったのですが、明美さんの洞察力と機転が戦いを回避し、なおかつしぃ太さんを救います。
足が小さすぎて靴のサイズが合わないために転びやすいしぃ太さんのひざを保護するための、学校特認ニーソックスだったとは。それよりも驚くべきは、しぃ太さん本人以外知らないそのことに気付いていた明美さんの洞察力でしょうか。あなたはシャーロック・ホームズか! と(笑)。
それにしても明美さんとしぃ太さんの図はまるで小犬と小犬をかわいがる少女のようですね。え、どっちがどっちか? ってそりゃ(略)。

さて明美さんの機転にやり込められた八重樫さんも、恥ずかしさのあまり、なのか、「覚えてなさい!」を二回繰り返すあたりは、なんかかわいいキャラと思えなくも、ない(笑)。
あまりにも熱心すぎる八重樫さんを疑問に思う明美さんたちの聞き込みの結果を見ても、そう思います。ジャージのほつれを叱責したかと思うと、返すその手で「裁縫セットを持ってるから使いなさい」って…。
規則に忠実すぎる八重樫さん。でも明美さんたちはそんな彼女に理解を示します。でも南さん、あなたの言わんとしていることは、すなわち最終的には規則破りをしてるんじゃないのか?(笑)

八重樫さんの勢いは止まりません。ついには運動部の服装にまでメスを入れようと、体操着禁止・ブルマ廃止論をぶち上げた様子。まあたしかに、いまはブルマ廃止が大きな流れになるつつあるわけで。私が10なん年まえに通っていた高校も入学当初からハーフパンツでしたし。
だが空想の世界ではまだまだ現役! というかブルマ廃止論は南さんの逆鱗にふれたようで。あらら。私も(空想の世界では)許せません(笑)。
というか南さん、ブルマだらけの運動部の練習風景を「眼福パラダイス」ととらえていたとは…。あなたやっぱりオタクというよりオヤジだ!(笑)
ちなみにそのブルマ廃止論、あたらしい服(ジャージやハーフパンツ)を買いなおす部費がない、ということで運動部の面々からは却下されたとのこと。却下の理由がそっちか!
八重樫さんに直談判しようとする南さんを止めたのは明美さん。「廊下を走るな!」 って、正論ですね。言いたいことがあるなら筋を通せ、と語る明美さんに、南さんは「なんという委員長節…ハート」とモエてます。

たった一人で校内を駆け回り取締りをする八重樫さん。そんな彼女に明美さんは、なにか共感にも似た感情を持っているようです。頑張りすぎる系のキャラクターは、たしかにふたりに共通しているところはあるのですが…?
さてその八重樫さん。あまりに駆けずり回ったせいか、つい一瞬、隙を見せてしまいます。暑さのせいで、誰もいない教室でブラウスのボタンを外した、瞬間。その瞬間を見逃さないのが南さんの萌えセンサー。アホ毛じゃないんです萌えセンサー。南さんてばもう…(笑)。
「(原文ママ)ドウおぉーぞお構いなく!! 心置きなくはだけて下さ」いって、八重樫さんでなくてもそんなこと言われてはだけ続ける人がいるわけないでしょう!

八重樫さんに共感していたと思われる明美さんはそんな八重樫さんに、理由があるなら、人手がいるなら手伝う、とまで言います。南さんたちにとっては衝撃発言ですね。
しかし、八重樫さんのほうがさらに衝撃発言です。
明美さんたち、そして八重樫さんの通う学校でもあるこの女子高が、生徒数減、志望者減に対するテコ入れ策として、次年度から共学化されるのだと。
女子高の共学化は、最近の少子化傾向にともなって実世界でもあちこちの学校で行われてきているのですが、明美さんたちにとっては寝耳に水ですねこれは。
それが八重樫さんが厳しくする理由だったのかと。ようするに、男子生徒が入ってきたら今の女子生徒の状況では男子に示しがつかないから引き締めたいということなのか。
とすると、明美さんたちがどう動くのかが次回以降の流れを決める大きな鍵になるのかと。八重樫さんとともに共学化を受け入れて状況を改善するのか、それとも志望者数を上げるなどして、共学化を止める方向に持っていくのか。今回は一度も登場しなかった生徒会長(メガミ委員会の生みの親でもある)の菜那美さんも重要ですし、後者なら、これまで全く登場していないと言っていい、教師たちの存在も絡んでくるかもしれない。どう動くかもわからないところが!

回を追うごとに展開や状況をステップアップさせているこの作品。今回は新展開と同時に、下手をすればメガミ委員会存亡の危機になりかねない事態の勃発。どうするのか、どうなるのか。