小笠原朋子『ごくらくハート小笠原的トラベルスケッチ』
3ヶ月ゲストの1回目と2回目。
(8月号)
ことしの3月、姪っ子さんといっしょにグアムへの旅に行かれた小笠原朋子先生。
以前の作品では、小笠原先生と姪っ子さんの子供のときの性格が似たものどうしで(読書好きとか)、歳は違ってもウマが合うふたりとして紹介されていました。
そんなおふたりが一緒の旅をされたらどうなりましたか…、というお話。
出発のとき。小笠原先生の弟さんが、すっごく娘さんを想っていることはよくわかりました。小笠原先生は、「弟うぜえ」の一言で斬って捨ててます(あと、弟さんからのメールを見て姪っ子さんと一緒に爆笑してたとか)が、それほどまでに娘を想う父のことを邪険にしないでください(笑)。
でもそんな父の心、娘知らずとばかりに初海外に興奮する姪っ子さん。わかります。子供のときにはじめて親元を離れて旅をするっていうのは、たしかに「子」のほうからすると興奮する出来事ですよね。

そしてグアム。今回の旅は、グアム自体を楽しむというよりは、どちらかというとホテルでバカンスを楽しむという色が強いように感じられます。
それにしても、9歳という年齢は微妙なのですよね。なにがって、心の中では「自立心」のようなものが芽生えてくる時期ではありますが、まだまだそれ以外の部分で自立するには至らないというところが。そういう部分が、本人にとってはすごく微妙というか歯がゆい部分なのだと思うのです。
小笠原先生が描く今回の作品も、姪っ子さんのそういう部分を描き出しているように感じられます。水着を真剣に選んだり、「これがいい」とはっきり言ったりするところは「自立心」の一端なのではないかなと思うのですが。
あとレストランで、キッズメニュー&おまけの塗り絵を渡された姪っ子さんのひとこと、「ここまで子供扱いされるとは フー」には笑いました。いや9歳ですから、ほんと微妙な年齢なんです。

ホテルでの生活はかなり規則正しい生活だったようです。私の場合、ホテルでは時間の過ごし方がだらーんとしてしまうところがある(日常がそうだという説もある…)ので、そういうところはすごいなあと。
ホテルの朝食(ビュッフェ式)で、たくあんを盛っている姪っ子さん。まずグアムのホテルにたくあんがあることにびっくりしますが、わざわざたくあん、というか漬物を選ぶところは、やっぱり長野県人なんだなあと思いました。偏見ですか? 長野は漬物どころだし。

ホテル内の水族館で、姪っ子さんが自分用のお土産に選んだぬいぐるみの手触りに、姪っ子さんの幼い頃の記憶をダブらせる小笠原先生。よく思いだされたなあと思いました。
姪っ子さんが「まだまだ子供でよかったv」と思っている小笠原先生ですが…、そういう原初的な感覚、っていうのは大人になっても続くものです。「三つ子の魂」ってよく言いますし。

(9月号)
姪っ子さんを撮るために、水中撮影も出来るデジカメ(いまは完全防水デジカメもあるのですね)を買っていた小笠原先生。
ホテルの中にあるプールで泳ぎ倒すだろうという小笠原朋子先生の目論見があったから…。だけどその目論見を外す姪っ子さん。というか今回は、姪っ子さんの自立心にふりまわされる小笠原先生、という構図が描かれているような。

一緒にプールへ向かう姪っ子さんに、「本気の泳ぎを見せてもらうよー」と言う小笠原先生。どこの「頭文字D」だ? って話ですけど(笑)。
子供用プールでもなく、さまざまな趣向のアトラクションなどに目もくれず、ウオータースライダーに行き、そして45回も滑り続ける姪っ子さんの楽しみ方には、ただただすごいなと感服します。なにせわりと物に動じない印象のある小笠原先生(ビンタン島ではバナナボートで師走冬子先生と空をすっ飛んだこともあり【笑】)が、滑ってみてめちゃめちゃびっくりしてる時点でどんだけすごいウオータースライダーなのかと。
そんな様子を見た姪っ子さんに、「…ムリしなくていいからね」とか言われちゃう小笠原先生が、わりと萌えキャラ化(笑)。
しかし45回も滑り続けるって、6時間ぐらい滑り続けていたんだろうか。

グアムなので、食事は基本、外国です。姪っ子さんは和食好き。まあまあまあ、これまで日本から出たことがないわけですし。
でもグアムにはコンビニ(ABCストア)がある。コンビニには、おにぎりがあるのだそうです。おそるべしグアムのコンビニ。これでいきなりグアムに飛ばされることになっても安心ですね(どういう理屈だ)。
しかしここでも、姪っ子さんのマイペースに振り回されてる感のある小笠原先生です。姪っ子さんが好きなおにぎりを聞いて、「塩むすび おいしい塩で」と言われちゃあ。日本のコンビニにだって、塩むすびは見当たらないなあ…(先日、期間限定で投入された商品として都内のセブンイレブンで見ましたが)。
あ、でもカリカリ梅に安心する姪っ子さんは、やはり漬け物好きな長野の人だと。


ヤマザキマリ『イタリア家族風林火山』
(9月号)
最近の実話系で流行っている感のある、「国際結婚もの」なのですが、他の作品とはちょっと違う気がします。だんな様のベッピーノさん(イタリアン)のせいかと思うのですが。
やることが、いうことが、論理的に熱いんですベッピーノさん。ラテン系の男は女性に対して「熱い」と聞きますが、ただ熱いんじゃないんです。彼も無軌道な熱さを持っていることは間違いないのですが、そこに妙に論理的な裏打ちがあるように感じます。「婚約指輪」ならぬ、婚約カメオをヤマザキマリ先生に渡すときの彼の語りとかがなあ。
ある意味、実話系作品の「ダンナ様」最強キャラかもしれない(笑)。
以前の作品でも、ベッピーノさんのお父さん(発明家)のキャラとか発明したものを取り上げたものなど、けっこう笑える作品になっていて、これはコミックスが出たら買うかな、って思うくらい面白いと思います。


たかまつやよい『流されて八丈島』
(9月号)
八丈島へ移住された、「たかまつやよい」のやよい先生。連載化されて、この作品も定着した感があります。
今回は海辺ならではの流木アート体験。
ですが話のはじめは、海流に乗って大陸からやってくるゴミの話から。海流は九州沖で二つの流れに別れているので、大陸からでも八丈島まで流れちゃうんですよね。
しかしペットボトルが流れてくるというのも時代の流れですかねえ。

作るのはけっこう大変、なのでしょうか。結局やよい先生がされたのは、素材選びと木に穴を開ける作業のふたつでした。
木を割ってなにを作られるのかと思ったら、電球を入れてスタンドを作られていたのですね。穴を開けて木を割っただけでも様になったものができるのは、自然の造形美のたまものなのか。