芳文社の新しいコミックスシリーズである、カラー連載作品をまとめたオールカラー版コミックス。「まんがタイムスペシャル」誌へ復帰して以降、巻頭カラーでの連載が続いている『ちるみさん』も、オールカラー版コミックスが登場する運びとなりました。
今回のコミックスに纏められている内容も、大半は「スペシャル」誌での最近の連載です。そういえば、この作品がカラーで継続して掲載されるようになったのは「スペシャル」誌復帰後が初めてなのでしょうか?

私が「オールカラーコミックス」シリーズを読んだのはこの本が初めてですが、まず各キャラクターにスポットをあてた形になった構成のしかたが面白いと思いました。このあたりは、おそらく編集者の方なのかと思いますが、素人には思いつきそうで思いつかないところを形にできるものだなあと感心しました。
いやむしろ、師走先生はこのために連載でもローテーションのように毎回メインで取り上げるメイドさん&サブキャラクターをかえて描いていたのか、と思うくらいです。
麗子さまや、まだ正式にはメイド戦隊加入前だった漆田ちおりさんがひとつのコーナーで取り上げられているのは、なかなかにファンの好みを分かってらっしゃるというか(笑)。
さらには佐々木先生(笑)のコーナーまであるのはちょっとびっくりしました。連載では最近漆田さんがらみで取り上げられたけれど、スペシャル復帰以降の佐々木先生は、派手なキャラなのに出方はいまひとつ地味でしたから。
ただ麗子さまたちが取り上げられたぶん、ちふゆさんが割りを食うことになってしまったわけですが。そのあたりは次巻以降への期待とあわせて、といったところでしょうか。

私の独断でいえば、1話のストーリーとして話を面白く読めるのはちゆりさん&麗子さまが絡んでくる回かなと。やはり、それぞれちるみさん&大樹さんとの横一線の関係が強いぶん、ストーリーが上手く流れていくのかなと。
そしてギャグ要員として誰と絡んでも面白いのはちまき教官でしょう。まあ、メイド学校の教官だけにメイドさん全員と関係が深いですし、キャラクターデザインも極めつけ、性格もわりと極端(笑)、ボケもツッコミも出来そうですし、ギャグのネタを仕込むとすればいちばん仕込みやすい人であるように思います。
そういう意味では、いちばんそういう部分が出ているのは付録の描き下ろし小冊子かもしれません。ちまき教官の威厳と、ちまきさんがちゆりさん作のトラップに引っかかってあわわ、なところが両立して見られるのはポイント高いです。

それにしてもちふゆさん。ツナギを着たりメイド服を着ているときでも胸元を開けておくのには実用的な意味があったとは…。
そして漆田さんはメイド学校にいてもモノをつくる力は即戦力なのですね。しかしこのメイド戦隊、いったいどんな目的の組織なのだか、謎が増えていくばかりですな。

カラーで掲載された作品は、なるべくならカラーで見られる環境で残してほしい、というのはファンの願うところだと思いますので、こういう形で、何らかの付加価値をつけて(=描き下ろし小冊子)コミックスを刊行されるのはいいアイデアだと思いました。2巻以降も期待しています。