「まんがくらぶオリジナル」で連載されているこの作品。待望の単行本第1巻です。
表紙、というかカバーが白い。真っ白な地に、表紙側にお嫁さん、裏表紙側にお姑さんです。
なんというか、洗剤の広告のような白さを感じます。えらい白さだよなと。

まず小池恵子先生の作品の隠れた特徴(?)として私が挙げたいのは、作品のネタに、地に足が着いたような生活感あふれる題材が多く取り上げられていることです。
連載毎回ごとの大まかなテーマもそうですし、4コマ(or8コマ)作品ごとのネタとしても、とても生活感にあふれた題材が多いと思います。
この方の作品は、他に『ななこまっしぐら!』(竹書房「まんがライフ」にて連載中)などもありますが、ほんわかとした雰囲気が中心の主婦生活ものである『ななこ?』はもとより、ブラックユーモアに特化した『あれるげん。』でさえ、地に足が着いた生活感を持ったキャラクターやネタを持っている。
小池先生は、人間を、そして生活を、さらに大きな目でみれば社会というものをよく見ている作家なのだなと、作品を読むたびに思います。

しかし「生活感」だけでは終わらせないところが小池先生の作品。『おかあさまといっしょ』では、「そこまで仲良く冷戦しなくても良いのでは…?」(笑)と言いたくなるような、嫁と姑の(内なる)冷戦を派手に描いていくことで、この作品の「売り」になる部分を増やしているところがすばらしいと感じます。
余談ですが、この単行本の巻頭にある登場人物紹介ページでも、登場人物は「嫁」と「姑」、それに「(嫁の)旦那」となっているのには笑いました。名前出さないんだ…。

それにしても「どS」嫁ってすごいよなと。もしどSじゃなかったら、お嫁さんはお姑さんともっと上手く行くのか、それとも行かないのか。行かない気もするなあ。
お嫁さんの、103ページ左3コマ目の表情と目はほんとにすごいというかすばらしいと思います。あんな目をされたら、人によって、人それぞれ別々の意味で息が止まりそうになるというか、時が止まりそうですな。
一方のお姑さんは、年の功というやつなのか、お嫁さんほどは感情を表に出さないように思うのですが、内面を描いた部分を読んでいると、隠れているぶん闇が深そうというか(?)。

110ページからの「嫁姑バトルDVD」ばなしですが、アメリカ映画とかだと普通にありそうだから怖い(笑)。毎回ごとに決着はつくらしいですが、生死を決する戦いじゃないんだよな…?

単行本で読んで、あらためて面白い作品だと思いました。奥付には「編集版」と書いてあるのですが、連載を続けていただいて、さくっと2巻以降も出てくれると願っています。