昨年末に刊行された佐野妙先生2冊目の単行本。
こちらも、先に刊行された『smileすいーつ』(芳文社刊)に負けない人気作です(というよりもそれ以上?)。

なんといっても、この作品の魅力は主人公の女子高生・森田真由さんにかかるところが大きいでしょう。
周りの女の子たちがみんなものすごく喋るのに(ドラマCDでもアニメでもドラマでも、メディアミックスされたらすごいやかましい作品になりそう【笑】)、まるでバランスをとるかのようにほとんど喋らない森田さん。
でも、「目は口ほどに物を言い」と言いますが、森田さんは目と視線でものすごく語っていると思うのですね、私は。あの目がたまりません。
それに今回のコミックスにはまだ載っていませんが、のちの回では、怖いぐらいの激情を内に秘めていることもわかりましたし。あの辺はお母さん譲りなのだろうな…。
しかし、森田さんの目を「冷凍イカみたいな目」、というのはひどいと思うな山本さん。れーとーいーか(笑)。「死んだ魚のような目」と同義じゃね?

そしてこの作品でも、佐野妙先生は周りを固めるキャラクターたちをきちっと作っておられます。
私がいちばん好きなのはくせっ毛の花ちゃん。裏側に家庭不和を抱えた苦労人なところも(本人は大変なわけだが)魅力が大きいと思います。
「冷凍イカみたいな目」と森田さんの目を評したり、「森田さんを見てるとムラムライライラする」と語る山本さんですが、無口な森田さんにわざわざ絡んでいくところは、森田さんのことが大好きなんだと、思う。ああいうキャラクターはいいよね。

そしてだれより、真由さんのご両親のキャラクターがすごく奥深い夫婦のあいだを描いていて面白いなと。しかしお父さんが真性Mだったとは、単行本を読んでいてはじめて気づきました。ただ奥さまにコテンパンにやられているだけではなかったのか…。

各所に魅力があるこの作品。そしてこの単行本。
09年からは「まんがライフMOMO」に加えて「まんがくらぶ」でも連載されてますます勢いが増しそうですし、続きが楽しみです。