夏のとうふくん(inul@b)
とうふくんが、真っ二つに切れたり、粉々に砕けたり、魚に食われてどんどん小さくなっていったり、グロテスクな場面(?)ばかりでとても笑える作品。
しかし、とうふくんはどんな状況でも表情も変えず、断末魔の叫びを上げるでもない。読み重ねていくと、無常観のようなものまで頭に浮かんでくる、そんな作品。

先生はお兄ちゃん。0時間目(ムンチャイ)
表題作の商業誌投稿時代のものと、連載終了後の最近に描き下ろされたものの2本立てとなっているが、前者と後者との間では、主人公 の兄のキャラクターの表面からも内面からも尖った感じがなくなっているところがあったり、主人公の内面が強く、格好良くなっていたりするような変化が見ら れるのが興味深い。

小悪魔になる方法(黒猫亭/ムンチャイ)
2サークルによる、「小悪魔系」をテーマにした合同誌。
ろくさぶろう氏は、カップル二人ともを小悪魔系に描いている。小悪魔な男女が揃うと、エロ可愛さを感じる面白みがあるのかと思い知らされる。
テンヤ氏が描いたのは小悪魔な妹キャラ。実の妹ではないので葛藤にさいなまれる主人公キャラの心の揺れが楽しい。

ふわふわアルペジオ(すこやかペンギン)

某高校生向クイズ番組ネタ漫画と見せかけておいて、そつなく得意のSF展開に持ち込んでいく。そして少ないページ数なのに甘酸っぱいラブコメまで入れ込んで一区切りの作品を作ってしまう。
そんな作者の、いつも通りのストーリー作りの上手さというか底知れなさで、買ってよかった&読んでよかった感を強く感じられる。


souco(ogasite)
主人公の女教師が思い出した、学生時代の恋の辛い記憶。その辛さを克服していくのにしたがって、同い年の男性教師と気持ちを通わせていくラブコメ。
若いときはわからなくても、後になってみればわかることはたくさんある。もう戻ることはできないけれど、人はそうして辛い記憶を乗り越えていける。
それだけでも年齢を重ねていく甲斐がある、というものかもしれない。

らぶてきな。(やたこ)
女の子同士の、キスを通じた恋心競争のような風景と、その内面の描写が読者の心をくすぐる。
ラストに進むにつれて、親友の女の子に片思いする主人公の女の子の想いの深さがはっきりと描写されていくあたりは、からっとさばけていて心地よい。

七十転び八起き(くろみや別館)
日ごろの生活や作者の言動から起きた笑える場面を描いた実録漫画は、作者が勤める会社の人々がすごくばかばかしいなと(誉めてます)。私もこんな会社で仕事したい。ぜったい疲れると思うが。
今回併載されているフィクションの漫画のほうも、実録漫画から感じるばかばかしい雰囲気を持ったキャラクターが集まっていて、実生活からフィクションへばかばかしさを発展させているのかと思える。

可愛すぎる日高先輩とXXXしたい!(T-NORTH)
ヒロイン・日高千智への、主人公・都山勇太の愛情の深さ。その愛情を精一杯受け入れようとする千智の心、双方を描くシナリオは細やかだが、二人が結ばれる描写には力強さを激しく感じる。
二人の、さまざまな面での初々しさも、とても眩しく感じられる。

Pussy & Butterfly(渚のハイカラ金魚)
2本の作品がそれぞれ充実した内容で楽しめる。
男の娘メイドと女性メイドとご主人様を描いた作品からは、いたってマニアックな感覚を受け、その感覚から更なる愉悦を感じる。
そして男の娘メイドが「男の娘」になった理由を読むと、自らが女性メイドを犯すことになった事に哀しみを感じていなかったかと思ってしまうが…?
姉弟を描いた作品は、姉と弟の双方が互いを好きなことに葛藤を感じながら、その葛藤まで快感に結びついていそうな貪欲さと正直さを読み取り、読んでいて清々しさと淫靡さの双方を感じた。